XLIF・OLIF

手術の対象になる疾患・病態

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎変性すべり症
  • 腰椎変性側弯症(成人脊柱変形)
  • 腰椎後弯症
  • 腰椎分離すべり症 など

手術の目的

症状の進行を食い止め、現在の症状を軽くすることです。

症状は気候や、生活習慣などで軽減・増悪を繰り返していきますが、その根本の原因となる 脊柱管狭窄や椎間板変性は薬や自然経過で良くなることはありません。

また、手術をしたからと言ってすぐに症状が全く無くなると言うこともありません。

症状は、狭窄の程度、時間の経過、年齢、その他の既往歴などの影響を受けるため、改善していくまでの時間や程度は様々です。

手術は「これ以上症状を進行させない」、「神経が回復しやすい環境を作る」ための手段です。

手術の方法

①仰向けの状態で全身麻酔を導入し、その後横向き(側臥位)の状態になります。脇腹を5㎝程度切開し、神経モニターと呼ばれる機械で神経叢を傷つけないよう監視をしながらダイレーターと言う器械を用いて椎間板まで到達します。

手術の方法

②症状の原因となっている椎間板を摘出し、ケージと呼ばれる鳥かごのようなインプラントに、骨盤部分から採取した骨髄液と人工骨を詰め、椎間板を摘出した場所に挿入します。

  • 手術の方法
  • 手術の方法

③次に、うつ伏せ(腹臥位)になり、背中側から椎弓根にスクリューと呼ばれるインプラントを上下の椎体に挿入します。後方から神経の除圧が必要であれば除圧の処置を加えます。

 

最後にロッドと呼ばれる棒状のインプラントを用いて、スクリュー同士を繋げます。(この時、より安定性を高めるために、トランスバースと言うインプラントを合わせて用いることがあります。)

手術の方法

その他手術詳細

  • 手術時間は1椎間でおよそ2~2.5時間です。(1椎間増えるごとに+30分~1時間)手術の前に麻酔の導入や体位変換、消毒などの準備がありますので、実際に手術室に入室してから退室するまでにはさらに1時間から1時間30分程度の時間を要します。
  • 出血量は、手術中、手術後と合わせておよそ200~400ml程度です。こちらについては、必要があれば入院前にご自身の血液をあらかじめ保存したり(貯血)、日赤血液(保存血)を準備し、術後に適宜輸血いたします。

手術の主な合併症

  • 神経障害/損傷・硬膜損傷

    圧迫されている神経は損傷されやすく、狭くなった脊柱管の除圧操作の際に神経を障害する可能性があります。
    また、硬膜が破れて、髄液が漏れることもあります(髄液漏)。この時、頭痛や吐き気が出ることがあります。
    →補液などを行いながら経過をみます。通常1~2週間で回復することがほとんどです。
     また、神経障害が発生した場合には、数か月で回復される方がほとんどですが、稀に永続することがあり、外来で経過をみていきます。

    ケージを挿入する際、腸腰筋からアプローチするために、進入側の膝や大腿の筋力が一過性に低下したり、 同部につっぱり感や痛み、しびれ、ほてり感を感じることがあります。
    →2~3か月の時間をかけながら、自然に回復することがほとんどです。

  • 術後血腫

    手術した場所に血液が溜まり、神経を圧迫することがあります。
    →必要時には血腫を取り除く(洗浄)処置を追加することがあります。

  • 偽関節

    固定のために行った骨移植がうまく癒合せず、固定が完成しないことがあります。
    →強い症状が残存する場合は、再手術を必要とする場合があります。

  • 感染

    創部に菌が付き化膿することがあります。抗生剤の投与で治らない場合、再手術で創部を洗ったり、場合によってはインプラントを抜去します。再手術後も抗生剤の継続、持続洗浄などの処置を必要とすることがあります。治癒するまでに数か月から数年に及ぶこともあります。
    →栄養状態不良、糖尿病、喫煙、肥満、身体のどこかに感染がある場合にはこのリスクが高くなります。

  • その他

    外科的合併症
    ・尿管、大腸、腎臓などの後腹膜腔臓器の損傷
    ・血管(大動脈、腸骨動脈、分節静脈、腸腰動脈同)損傷
    内科的合併症
    ・心筋梗塞・脳卒中、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症など
    →いずれも、適切な処置を行い、必要時には連携施設へ搬送いたします。

入院中の生活について

項目 食事 清潔 活動 排泄 検査・処置など 画像
手術前日 食事は21時までとなります シャワー浴をしていただきます 制限はありません 制限はありません 必要があれば採血を行います 必要に応じて撮影します
手術当日 禁食となります。飲水は手術2時間前までとなります。 シャワー浴は抜糸が完了するまでできません。 手術までの制限はありません。術後は医師・看護師よりご案内いたします。 尿道カテーテルを留置します 手術2時間前から輸液・抗生剤の点滴があります 術後にCTを撮影します
術後1日目 飲水可能です。術翌日は禁食。 術後2日目から全粥食開始になり、排便が認められた翌日から常食へ変更となります。 ご希望がありましたらスタッフが清拭(タオルで拭く)を行います。 トイレ、個室内の移動は可能です。制限がある場合には医師、スタッフからご案内があります。 歩行が可能であれば尿道カテーテルを抜き、トイレに行けます 採血を行います。必要があれば輸血を行います  
術後2日目 術後の経過をみながら、リハビリを開始します。日中は硬性コルセットを着用してください。 基本的には制限はありませんが、特別なことがありましたら医師・看護師よりご案内いたします。 適宜点滴、処置、採血を行います  
術後3日目
術後4日目~
術後7日目 抜糸が済みましたら、ご希望に応じてシャワー浴開始となります。 抜糸予定日です(2回以上手術を行った場合や、傷の状態によって、抜糸日が延びることがあります) レントゲン・MRIを撮影します
~退院 朝食が出ます。(昼食は退院時間に応じてご提供いたします) 引き続き硬性コルセットの着用をお願いします。    

※状態によりスケジュール内容が異なる場合があります。経過につきましてはその都度、ご説明いたします。